米国のトランプ新大統領とドイツのメルケル首相は28日に電話会談を行った。両首脳が話し合うのは今回が初めて。トランプ大統領はこれまで、北大西洋条約機構(NATO)やメルケル首相の難民政策を批判したり、保護主義的な政策を打ち出すなど“挑発的な”言動を繰り返してきたが、この日は安全保障での協力や二国間関係をこれまで以上に深化させることで意見が一致。対立よりも協調を前面に押し出す姿勢を示した。ただ、イスラム圏7カ国の市民が米国に入国することを一時禁止する大統領令を実施したことに対してはメルケル首相から批判を受けた。
電話会談は45分に及び、NATO、中東・北アフリカ情勢、対ロシア関係、ウクライナ紛争など幅広いテーマが話し合われた。トランプ大統領は就任前、NATOを時代遅れと批判してきたが、メルケル首相との会談では「NATOが米国と欧州の関係にとって根本的な意味を持ち、平和と安定の維持に大きな役割を果たしている」との認識で一致。テロ対策や中東・アフリカ地域の安定化に向けた協働の強化でも合意した。
一方、テロ活動が活発なイスラム圏の7カ国(シリア、イラク、イラン、イエメン、ソマリア、スーダン、リビア)の市民の米国入国をトランプ大統領が90日間、禁止したことに対しては、メルケル首相が誤った政策だと批判した。独政府報道官は29日、「テロに対する闘いは特定地域の出身者ないし特定の宗教の信者に一律の容疑をかけることを正当化しない」と指摘。同入国禁止令がこれらの国とドイツの二重国籍を持つ市民に及ぼす影響を調査することを明らかにした。