墺ウィーン東部のバウムガルテンにある天然ガスの輸送中継施設で12日、爆発事故が起きた。同施設は中欧最大級のガス中継拠点で、ドイツ南部やイタリア北部にパイプラインでガスを供給している。イタリアではガスが不足する恐れもあり、カルロ・カレンダ経済相は「深刻な問題だ」と懸念を表明した。ドイツとオーストリア国内向けのパイプラインには被害が出ておらず、影響はない。
事故は午前8時45分に発生した。運営会社ガス・コネクトによると、フィルター設備で爆発が発生。火は敷地内の他の建物にも広がった。作業員およそ50人のうち1人が死亡し、21人が怪我をした。立ち上った煙は30キロ離れたウィーンからも見えたという。
バウムガルテンの施設はロシア、ノルウェー産天然ガスの主要な輸送中継拠点で、取扱能力は年400億立方メートルに上る。事故の結果、イタリア、南東欧向けにロシア産ガスを輸送する施設が損傷したことから、これら方面への供給がストップしている。現時点で復旧のめどは立っておらず、露ガス大手ガスプロムの輸出子会社ガスプロム・エクスポートは迂回ルートの模索を開始した。オーストリアと国境を接するスロバキアではロシア産ガスの主な中継国であるウクライナからの輸送量が前日より3分の1減少しているという。