経営破たんした独航空大手エア・ベルリンの墺子会社、ニキ・ルフトファールトの墺債権者委員会は23日、ニキを創業者のニキ・ラウダ氏が経営する航空会社ラウダモーションに売却することを決議した。ニキの買収には英西資本のインターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)も名乗りを上げていたが、ラウダモーションへの売却を全会一致で決めた。売却金額など取引の詳細は明らかにされていない。
エア・ベルリンは昨年8月に経営破たんした。ニキは当初、独最大手ルフトハンザが買収することになっていたが、欧州連合(EU)の欧州委員会が独禁法上の懸念を表明したことから断念。ニキの独債権者委員会は12月、ニキをIAGとその格安航空子会社である西ブエリングに3,650万ユーロで譲渡することを決めた。
これに対し航空旅客の権利保護事業を展開する墺フェアプレインは、オーストリア企業ニキの破産手続きをドイツで行うのは不当だとしてドイツの裁判所に提訴するとともに、墺裁判所にニキの破産手続きを申請した。
ドイツの裁判で二審のベルリン地方裁判所はフェアプレインの訴えを認め、オーストリア移管を命じた。このためオーストリアの債権者委員会がニキ売却の主導権を握ることになり、ドイツの債権者委員会と意見を調整したうえで今回の決定を下した。
ただ、破産手続きの実施場所をめぐるドイツの係争は現在、ニキ経営陣の上告を受けて最高裁の連邦司法裁判所(BGH)が審理していることから、ニキ経営陣が上告を取り下げずBGHがドイツでの手続きを命じると振り出しに戻る恐れがある。
ニキは元F1レーサーのラウダ氏が2003年に設立した航空会社で、エア・ベルリンには11年に売却した。ルフトハンザによる買収のとん挫を受けて経営破たんし、12月14日から運行を停止している。