ドイツ政府は13日の閣議で、子育てや介護を理由に勤務時間を減らす被用者に本来の勤務時間に復帰する権利を認める法案を了承した。被用者が必要に応じて勤務時間を減らしやすくするほか、女性に多い老後の貧困転落が起こりにくくすることが狙い。同法案は連邦議会(下院)の議決を経て来年1月1日付で施行される見通しだ。
フルタイム勤務の被用者が一度、パート勤務に切り替えると、フルタイム勤務への復帰を会社に認められず、パートに留まるケースが多い。この結果、公的年金の受給額がフルタイムに比べて少なくなり、老後に貧困へと陥る人は少なくない。
今回の法案はこうした「パートタイムの罠」から被用者を守るために作成された。被用者は最低1年、最高5年の範囲で勤務時間を減らし、同期間の終了後に元の勤務時間で働くことができるようになる。採用後6カ月超の被用者が権利を行使できる。雇用主への申請は短縮勤務開始予定日の3カ月前までに行わなければならない。元の勤務時間に復帰した被用者は復帰後1年間、勤務時間を減らすことができない。
フベルトゥス・ハイル労相は、子育てや介護のほか、ボランティア活動、継続教育、自己目標の実現などのために被用者が同権利を行使するとの予想を示した。
適用対象となるのは従業員数46人以上の企業。同権利を行使できる被用者の数は企業の雇用規模によって異なり、46〜200人の企業では被用者15人につき1人が行使できる。201人以上の企業では権利行使者数の上限がなくなる。