大陽日酸がプラクスエアの欧州事業取得、グローバル化大きく前進

大陽日酸は5日、米工業ガス大手プラクスエアの欧州事業を部分取得する契約を締結したと発表した。プラクスエアは独同業リンデとの合併する計画。同計画を実現するためには独禁当局の承認を得る必要があり、欧州連合(EU)の欧州委員会から欧州事業の一部放出を求められていることから、入札を実施して大陽日酸への売却を決めた。

大陽日酸がプラクスエアから取得するのはドイツ、スペイン、ポルトガル、イタリア、ノルウェー、デンマーク、スウェーデン、オランダ、ベルギーの工業ガス事業、英国、アイルランド、オランダフランスの炭酸ガス事業、およびヘリウム関連事業。これら事業の昨年の売上高は約13億ユーロに上った。大陽日酸は新設予定の欧州統括子会社を通して50億ユーロで譲り受ける。

取引の成立にはプラクスエアとリンデの合併を各国の独禁当局が承認するほか、大陽日酸による今回の買収計画を欧州委などの独禁当局が承認することが必要。大陽日酸は11月の取引完了を見込んでいる。

同社は業界再編が進むなかでグローバル競争力を高めるために、長期経営ビジョンとして売上収益1兆円、営業利益率 10%、使用資本利益率(ROCE)10%以上、海外売上収益 50%以上の実現を掲げている。今回の買収により欧州市場への本格進出を果たし、事業のグローバル化を加速。長期経営ビジョンの実現に向けて大きく前進する。

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