バーデン・ヴュルテンベルク(BW)州政府が作成した州都シュツットガルトの大気浄化計画は効果が不十分だとして環境保護団体DUHが提訴した裁判で、シュツットガルト行政裁判所は27日、訴えを認める決定を下したと発表した。比較的新しい欧州排ガス基準「ユーロ5」に対応したディーゼル車も走行禁止の対象に加えるよう命じている。この命令が実施されると市内を走行できない車両の数が大幅に増加し、市民生活に大きな影響が出る見通しだ。
欧州連合(EU)加盟国は窒素酸化物(NOx)の濃度を1立方メートル当たり40マイクログラム(年平均)以下に抑制することを2010年以降、義務づけられている。ドイツではベルリン、ミュンヘンなどの都市・地域で同規制を順守できない状況が続いており、昨年は計66カ所で違反が確認された。
連邦行政裁判所は2月、シュツットガルト市と独西部のデュッセルドルフ市の大気浄化策をめぐる係争で、他に手段がない場合はディーゼル車の走行禁止を認める判決を下した。5月に公開された判決文には、個々の道路を対象に欧州排ガス基準「ユーロ5」以下のディーゼル車の走行を即時禁止できることが明記。一定地域全体(ゾーン)の走行禁止についても車両の環境性能によって時期をずらしながら段階的に導入することが認められている。ユーロ5対応ディーゼル車のゾーン内走行禁止措置は早ければ来年9月から実施できる。
BW州政府はこれを踏まえ11日、シュツットガルトに来年1月1日付で環境ゾーンを設定し旧型ディーゼル車の走行を禁止する方針を決定した。欧州排ガス基準「ユーロ4」以下の車両が同ゾーン内を走行することをできなくする計画だ。ユーロ5対応車については、わずか3年前の2015年8月末まで新車販売が認められていたことから、購入者の立場を考慮して走行禁止対象から除外した。
シュツットガルト行政裁はこれに対し、ユーロ5を含むディーゼル車のゾーン走行禁止措置を段階的に導入することを認める最高裁判決から、ユーロ5車両の走行禁止を無期限で延期する政策を導き出すのは不当だと批判。ユーロ5車両の走行禁止措置の導入時期を8月末までに明確化するよう命じた。
州政府は抗告できるため、今回の決定は確定していない。