化学労使ベア3.6%で合意、勤務時間の柔軟化は持ち越しに

化学業界の労使は20日、新たな賃金協定を締結した。賃金を3.6%引き上げるほか、追加有給休暇手当を約2倍に引き上げることが柱。業界の景気が良好なことから、ベースアップ幅が大きくなった。勤務時間を被用者のニーズに合わせて柔軟化することなどを求める労組側の要求については、労使が今後協議し、次期協定の締結までに具体策を取りまとめることで合意した。

新しい賃金協定は第4四半期(10〜12月)に発効する。有効期間は15カ月。発効の時期は地区のよって異なり、ヘッセンとノルトライン、ラインラント・ファルツは10月1日付、バーデン・ヴュルテンベルク、バイエルン、西ベルリン、ブレーメン、ハンブルク、シュレスヴィヒ・ホルシュタイン、ニーダーザクセン、ヴェストファーレンは11月1日付、ザールラントと東部地区は12月1日付となっている。労使は3.6%の賃上げのほか、一時金280ユーロの支給で合意した。経営状態の悪い企業は一時金支払いを免除される。

化学業界では年間の有給休暇手当として月給の95%相当額を支給するとともに、有給休暇1日につき20.45ユーロの追加有給休暇手当を上乗せすることが取り決められている。同追加手当は1996年以降、据え置かれてきたことから、労組は今回の交渉で約2倍の40ユーロへと引き上げることを要求。これが全面的に受け入れられ、追加有給休暇手当の額は年614ユーロから1,200ユーロへと拡大することになった。

化学労組IG BCEは今回の交渉で、各被用者の要望に合わせて労働時間を柔軟化できるルールの導入を要求した。子育てや介護を踏まえたもので、企業は経営の都合で被用者に柔軟性を求めるだけでなく、被用者の必要に応じた柔軟性も認めるべきだと訴えた。

こうした要求は企業の労働体制の抜本的な見直しにつながることから、短期間の労使交渉で合意することはできず、労使は今後、時間をかけて協議していくことにした。勤務時間の柔軟化のほか、モバイル勤務、製造業のデジタル化(インダストリー4.0)に対応するための社員教育なども協議する。勤務時間の柔軟化では企業が必要とする労働力の量を確保できるようにする。

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