包装材リサイクルのDSDを廃棄物大手レモンディスが買収

独廃棄物処理市場の最大手レモンディスは27日、包装材のリサイクル(デュアルシステム)で独最大手のデュアレス・ジステーム・ドイチュラント(DSD)を投資会社などから完全買収することで合意したと発表した。法改正でデュアルシステム市場の見通しが好転したことから、DSDを傘下に収め同市場に再参入する。包装材リサイクル分野で国外市場に進出することも視野に入れている。買収金額は非公開。取引の成立には独禁当局の承認が必要となる。

ドイツで包装材を利用する企業はそのリサイクルを義務づけられている。実際にはデュアルシステム事業者が代行。家庭などで捨てられる包装材を回収・分別・再資源化している。

デュアルシステム・サービスを利用する企業は同事業者に料金を支払うことになっている。だが、実際には料金不払いで便乗している企業が多い。このためデュアルシステム各社の業績は圧迫されており、レモンディスは2014年、同事業から撤退した。

こうした現状を改めるために、包装材を利用するメーカーや輸入事業者に登録を義務づける改正包装材法が来年1月から施行される。未登録で包装材を利用することは違法となり、違反企業には過料が科されることになる。

レモンディスはこれを受けて、DSDを買収しデュアルシステム市場に再参入することにした。リサイクル代行料金を高い確率で徴収できるようになるためだ。

ドイツには現在、デュアルシステム事業者が計9社ある。DSDはそのなかで最も古い企業。市場シェアは当初の100%から28.5%(今年第2四半期)まで縮小したものの、最大手の地位を保っている。現在は包装材の再資源化に業務を特化し、回収と分別はレモンディスなどの外部企業に委託している。売上高は4億9,000万ユーロ、従業員数は約220人。

欧州連合(EU)加盟国の多くや欧州域外では包装材リサイクルが適切に行われていないことから、レモンディスはそうした国にデュアルシステムを投入する考えだ。DSDは国外で高い評価を受けていることから、そのブランド力を活用する。特に中国、ロシア市場に大きな期待をかけている。

廃棄物処理最大手のレモンディスがデュアルシステム最大手のDSDを買収することに対しては競合が懸念を示している。このためDSD買収計画はとん挫ないし変更を余儀なくされる可能性もある。