ドイツ連邦陸運局(KBA)が2日発表した9月の乗用車新車登録台数は前年同月比30.5%減の20万134台と大幅に落ち込んだ。欧州連合(EU)の排ガス検査方式が変更されたことが直撃した格好で、前年同月を上回ったのは7ブランドにとどまった。特にフォルクスワーゲン(VW)グループの不振が目立っており、これまでダントツの1位を保ってきたVWブランド乗用車は61.9%減の2万278台となり、4位へと転落した。
EUでは排ガス検査方式が従来の「新欧州ドライビングサイクル(NEDC)」から「世界統一試験サイクル(WLTP)」へと切り替えられ、WLTPをクリアしない車両は9月1日から新車登録できなくなった。多くのメーカーはNEDCに比べて検査精度が高く、同じ車両でも排ガス測定値が高くなるWLTPへの対応に苦戦。WLTPをクリアしていない車両は8月末までに新車登録しなければならないことから、7月と8月は駆け込み販売を通して販売実績を大きく拡大したものの、9月はその反動で激減した。WLTP未対応の車両を顧客に引き渡せず在庫が膨らんでいることも響いている。
VWグループの新車登録台数はすべて減少した。各ブランドの実績はアウディが77.7%減の4,596台、ポルシェが75.5%減の473台、セアトが54.9%減の3,836台、シュコダが43.6%減の1万981台だった。
増加率が最も大きかったブランドはジープで、79.7%増の1,515台へと拡大した。これに三菱(35.3%増の4,396台)、ジャガー(33.9%増の943台)、DS(23.0%増の278台)、プジョー(11.7%増の5,276台)、シトロエン(10.2%増の4,083台)が続いた。マツダも1.8%増の7,010台へと拡大した。
ドイツ車はすべて減少した。ただ、BMWは1.2%減の2万4,524台と減少幅が小さく、新車登録台数トップに浮上。オペル(6.6%減の2万337台)もVWやアウディを抜いて3位に付けた。メルセデスは20.5%減の2万2,379台と大きく落ち込んだものの、2位を確保した。その他のブランドはミニが11.4%減の3,972台、スマートが14.7%減の2,273台、フォードが17.2%減の1万5,006台だった。
日本車も三菱とマツダを除いてすべて落ち込んだ。各ブランドの実績はトヨタが6.3%減の6,982台、スズキが15.4%減の3,104台、レクサスが27.3%減の258台、スバルが28.6%減の620台、日産が32.1%減の4,109台、ホンダが59.0%減の594台だった。
日本車以外の主な輸入ブランドはボルボが11.5%減の3,291台、フィアットが12.3%減の5,622台、起亜が13.0%減の4,896台、現代が21.2%減の8,584台、ランドローバーが42.9%減の973台、ルノーが43.8%減の5,078台、双竜が45.9%減の113台、テスラが46.5%減の185台、ダチアが50.6%減の2,083台。
新車登録台数を動力源別でみると、ガソリン車は25.2%減少したものの、シェアは前年同月の59.7%から64.3%へと拡大した。ディーゼル車は都市部での走行規制懸念を受けて43.8%減少。シェアは36.3%から29.3%へと落ち込み30%を割り込んだ。
電気自動車(EV)は4.9%増の2,357台と小幅な伸びにとどまった。補助金の押し上げ効果はこのところ弱まっている。ハイブリッド車(HV)は15.9%増の1万49台に拡大したものの、補助金の対象となるプラグインハイブリッド車(PHV)は24.2%減の2,362台へと落ち込んだ。環境対応車のシェアをみると、HVは5.0%(PHVは1.2%)、EVは1.2%だった。
新車の走行1キロメートル当たりの二酸化炭素(CO2)排出量は平均132.2グラムで、前年同月を3.6%上回った。ディーゼル車に比べてCO2排出量が多いガソリン車の需要増が背景にある。
1〜9月の乗用車新車登録台数は267万3,418台で、前年同期を2.4%上回った。
一方、独自動車工業会(VDA)が同日発表した9月の国内乗用車生産台数は40万1,800台で、前年同月を24%下回った。同輸出台数も21%減って32万400台となった。1〜9月の累計は生産台数が前年同期比8%減の393万7,300台、輸出台数が7%減の306万7,300台だった。