消費者保護団体がVWを提訴、ディーゼル排ガス不正で損賠請求へ

独消費者センター全国連盟(vzbv)が自動車大手フォルクスワーゲン(VW)を相手取って集団代表訴訟を起こした。違法なソフトウエアを搭載したVWグループ車の購入者が損害賠償を受け取れるようにすることが狙い。集団代表訴訟制度が発効した1日付でブラウンシュヴァイク高等裁判所に訴状を提出した。ドライバーのサポート組織である全ドイツ自動車クラブ(ADAC)の協力を受けてVWと争っていく。

欧州では企業が違法行為を犯した場合の消費者保護が米国と比べて不十分なことが、2015年に発覚したVWの排ガス不正問題を機に浮き彫りとなった。VWグループのディーゼル車を購入した米国の顧客が多額の補償金や返品の権利を獲得したのに対し、欧州の顧客はソフトの再インストールを受けるにとどまったためだ。

欧州連合(EU)の欧州委員会はこれを念頭に4月、消費者保護の強化策を発表。EU全域で消費者団体が集団代表訴訟を起こせるようにする法案を公表した。ドイツでは同様のルール導入に向けて法律が制定され、1日に施行された。

集団代表訴訟制度では被害を受けた消費者でなく、認証を受けた団体が裁判を起こすことになっている。

認証団体はまず裁判所に提出した書類で、10人以上の消費者が問題に該当していることを証明しなければならない。裁判所がこの証明を認定すると、消費者は法務庁の訴訟登録簿に登録でき、登録者が50人以上に達すれば裁判が始まる。vzbvが発行する同訴訟のニューズレターを無料定期購読する消費者は約4万人に上ることから、裁判所が証明を認定すれば裁判が行われるのは確実だ。

vzbvは「EA189」というディーゼルエンジンを搭載するVWブランド乗用車、アウディ、シュコダ、セアトの車両を購入した消費者に登録を呼びかけている。該当車両を2008年11月1日以降に購入した消費者(250万人)であれば登録できる。

上部へスクロール