トヨタが独環境保護団体への援助停止、「ディーゼル車走行禁止訴訟と は無関係」

トヨタ自動車のドイツ法人が同国の環境保護団体DUHへの資金援助を来年から停止する。『フランクフルター・アルゲマイネ』紙が報じ、同法人が4日、追認した。DUHはディーゼル車の走行禁止を求めて多くの都市で裁判を起こしていることから、これを嫌ったトヨタが援助を打ち切ったとの見方もあるが、広報担当者はメディアの問い合わせに「トヨタが支援してきたDUHとのプロジェクトが終了したためだ」と述べ、そうした見方を否定した。

ドイツでは大都市を中心に欧州連合(EU)の窒素酸化物(NOx)濃度規制を順守できない状況が続いていることから、DUHは大気浄化計画に問題があると批判。違反都市の浄化計画にNOx排出量が多い旧型ディーゼル車の走行禁止措置を盛り込むよう要求し、裁判を起こしている。すでにシュツットガルト、フランクフルト、ベルリンなど9都市を対象に走行禁止を命じる判決が下されている。

DUHのこうした姿勢に対しては経済界から批判が出ており、ビール大手のクロムバッハーは同団体に対する支援をすでに打ち切った。

トヨタは20年前からDUHを資金的に援助してきた。援助額は多い年で1万ユーロのケタ台の半ばに上り、今年は1万ユーロのケタ台の前半となっている。

自動車業界に不利益をもたらす活動を続けるDUHを自動車メーカーのトヨタが支援することに対しては業界内で批判があったため、同社の支援打ち切りはこれを受けたものとする見方がある。

トヨタがドイツで販売する車種はハイブリッド車が多く、ディーゼル車の走行が禁止されても大きな痛手を受けない。ただ、ディーゼル車を計3モデル販売しており、広報担当者は「わが社はディーゼル車に反対の立場を取っていない」と明言した。

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