VWグループ販売18年も記録更新、ブレグジット対策に自信

自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW)が11日発表した2018年のグループ販売台数は前年比0.9%増の1,083万4,000台となり、これまでに引き続き過去最高を更新した。欧州連合(EU)の排ガス検査方式変更や中国市場の低迷が足かせとなったものの、モデル攻勢が奏功。特に世界的に人気が高まっているSUVが販売をけん引した。

グループ販売台数を地域別でみると、伸び率が最も大きかったのは昨年に引き続き南米で、13.1%増の59万台へと拡大した。主力のブラジルが30.4%増の40万1,700台と好調で、アルゼンチン(22.4%減の11万8,600台)の不振が十二分に相殺された。

中東欧も7.1%増の79万7,200台と堅調だった。ロシアが19.8%増の22万9,800台と大きく拡大している。

アジア太平洋は0.9%増の454万6,300台と小幅な伸びにとどまった。米国との通商摩擦などを背景に主力の中国が微増(0.5%増の420万7,100台)となったことが反映された格好だ。

西欧は横ばいの358万3,500台だった。EUの新排ガス検査方式への対応が遅れ9月以降の販売が大きく落ち込んだことが響いた。ドイツは0.1%減の128万4,800台へと後退した。

北米は95万6,700台で、前年を2.0%下回った。メキシコが15.6%減と振るわなかったためで、米国(2.1%増の63万8,300台)とカナダ(3.7%増の11万8,500台)は拡大した。

主要ブランドではアウディが3.5%減の181万2,500台へと落ち込んだ以外はすべて増加した。商用車のMAN(19.6%増の13万6,500台)と乗用車のセアト(10.5%増の51万7,600台)は2ケタ増を記録。その他のブランドはシュコダが4.4%増の125万3,700台、ポルシェが4.0%増の25万6,300台、VWブランド乗用車が0.2%増の624万4,900台(以上は乗用車)、スカニアが6.3%増の9万6,500台、VWブランド商用車が0.4%増の49万9,700台だった。

18年12月のグループ販売台数は前年同月比8.4%減の91万6,200台となり、4カ月連続で後退した。中国が12.5%減、北米が7.7%減、西欧が7.3%減と振るわず、足を強く引っ張った。ブランド別では販売台数が多いVWブランド乗用車(9.0%減)、アウディ(14.3%減)、シュコダ(2.2%減)、セアト(23.2%減)が減少。主要乗用車ブランドで増加したのはポルシェ(10.6%増)だけだった。商用車はスカニアが7.7%、MANが5.5%、VWブランド商用車が3.1%の幅で伸びた。

市場を取り巻く環境は今年も厳しいものの、グループ販売を統括するクリスティアン・ダールハイム氏は、困難に対応する準備は整っているとして「先行きを楽観している」と明言した。

同氏はまた、3月末に予定する英国のEU離脱(ブレグジット)に触れ、VWの業務がブレグジットの影響で大混乱に陥ることはないとの見方を示した。すでに英国の在庫を増やしており、大陸欧州からの新車供給が滞っても対応できるとしている。

あらゆるシナリオをシミュレーションしており、新協定を締結せずに英国がEUを離脱しても業務に支障はでないとの予想だ。ただ、「合意なき離脱」の場合は英国販売が減少するとみている。