ディーゼル車の販売底打ち

ディーゼル車の販売不振は底を打ったとの見方が出ている。1月の乗用車新車登録台数に占める割合が前年同月の33.3%から34.5%へと上昇し、数年ぶりに拡大へと転じたためだ。監査大手アーンスト・アンド・ヤング(EY)のパートナーであるペーター・フス氏は『フランクフルター・アルゲマイネ』紙に「最悪期は脱した。緩やかながら回復していきそうだ。少なくとも安定した」との見方を示した。

ディーゼル車はかつて人気が極めて低く、東西ドイツ統一直後の1991年には乗用車に占める割合が13%にとどまっていた。だが、燃費が良く二酸化炭素(CO2)排出量が少ないことから、温暖化防止に寄与するとみて、自動車・部品メーカーが開発を強化。性能向上を背景にシェアが拡大していき、2000年には30.4%へと達した。15年1月には50.6%を記録している。

だが、同年9月に発覚したディーゼル車排ガス不正問題と、二酸化窒素(NOx)の濃度規制を遵守するためには走行禁止が不可欠との論議を受けて需要が減少。シェアは2017年から急速に落ち込んでいった。せっかく購入した新車を利用できない事態を多くの消費者が恐れたためだ。

ここにきて販売が上向いたのは、最新の排ガス基準「ユーロ6d TEMP」を満たしたディーゼル車であれば、走行禁止の対象とならないことが明らかになったためとみられる。

ただ、ユーロ6d TEMP対応車の排ガス浄化装置は高額なため、車両価格が上昇するという事情がある。ベルギッシュ・グラートバッハ経済専門大学(FHDW)付属自動車研究センター(CAM)のシュテファン・ブラッツェル所長はこの事情を踏まえ「低価格帯部門ではディーゼル車が消えゆく」との見方を示した。ピーク時の需要を回復することはないとみている。