一般世帯のソーラー発電を利用した仮想発電所を運営する独ゾンネンは15日、石油大手の英シェルが同社を買収することで合意したと発表した。大手企業と競合しながら事業を拡大、グローバル化していくには世界的なネットワークと巨大な資金力を持つシェルの傘下に入るのが良いと判断した。取引金額は非公開。規制当局の承認を経てシェルの100%子会社となる。
ゾンネンは2010年設立の新興企業。蓄電池を製造・販売するほか、独自開発のソフトウエアを用いて◇太陽光発電システムと蓄電池をともに持つ世帯をネットワーク化する◇過剰な電力を持つ世帯から電力が不足する世帯に電力を融通する――「ゾンネンコミュニティ」という名のネットワークを運営している。売上高は急増しており、2017年は前年比で約60%増の6,500万ユーロへと拡大した。18年も30~35%の成長を確保したとしている。
シェルは再生可能エネルギー事業から一時、撤退したものの、16年に再参入。ゾンネンには昨年、資本参加した。
ゾンネン創業者のクリストフ・オスターマン社長は『フランクフルター・アルゲマイネ』紙に、「蓄電市場は大衆市場へと発展する直前の段階にある」と指摘したうえで、中堅企業に過ぎない同社が「シェルというパートナーを獲得することで、LGやテスラといった大手競合と張り合いやすくなる」と身売りの狙いを説明した。
事業のグローバル化にはすでに着手しており、3年前には米アトランタに蓄電池の開発・製造拠点を開設。昨年には需要が大きいオーストラリアにも自社工場(アデレード)を開設した。次は日本のエネルギー市場に参入する計画だ。