独金融監督庁(BaFin)は18日、金融サービス大手ワイヤーカードの株式を対象とする空売りを即日付けで全面禁止した。同株は先月末から投機の対象となり株価が大幅に下落。独金融市場に大きな悪影響をもたらす恐れがあることから、差し当たり4月18日まで空売りを禁止することにした。同株急落のきっかけとなった記事を書いた英『フィナンシャル・タイムズ(FT)』紙のダン・マクラム記者に対しては独ミュンヘン検察当局が有価証券取引法違反の容疑で捜査に乗り出した。
ワイヤーカード株は30日、同社の不正を報じたマクラム記者の記事をきっかけに急落した。同社は不正の事実はないと反論したものの、株価はその後も乱高下。先月末からの下落幅は40%に達した。
株価の下落が止まらない背景には、空売りを利用して投機筋が利益を得ようとしていることがある。BaFinはこの事情を踏まえて今回の措置を発動した。市場操作の容疑で現在、調査を進めている。
FTのマクラム記者はワイヤーカードに対する批判的な記事を2015年から書いている。ミュンヘン検察は同記者に対する捜査を行っていることを『フランクフルター・アルゲマイネ』紙に明らかにした。