ドイツ連邦陸運局(KBA)が4日発表した2月の乗用車新車登録台数は前年同月比2.7%増の26万8,867台となり、6カ月ぶりに拡大へと転じた。欧州連合(EU)の排ガス検査方式が変更された昨年9月から続いていた減少にようやく歯止めがかかった格好。1~2月の累計は53万4,569台で、前年同期を0.6%上回った。
2月の新車登録を動力源別でみると、ガソリン車は前年同月比で2.5%減少し、シェアは昨年2月の62.9%から59.7%へと低下した。ディーゼル車は3.0%増となり2カ月連続で拡大。シェアは32.5%から32.6%へと拡大した。旧型ディーゼル車の市内乗り入れ制限を背景とする需要減に歯止めがかかっていることが鮮明になってきた。
電気自動車(EV)の新車登録台数は82.1%増の4,637台と大きく拡大し、シェアは1.0%から1.7%に拡大した。ハイブリッド車も82.7%増の1万5,147台と好調で、シェアは3.2%から5.6%に拡大している。ただ、プラグインハイブリッド車は14.0%減の2,202台と振るわず、シェアは0.8%にとどまった。
車種別では多目的車が19.9%増と大きく拡大した。人気上昇が続くSUVも17.1%増と好調で、シェア20.5%を記録。シェア最大のコンパクトカー(21.1%)の背中を捉えた。
走行1キロメートル当たりの二酸化炭素(CO2)排出量は157.2グラムで、前月の158.7グラムをやや下回った。KBAは今年から、EUの新検査方式「世界統一試験サイクル(WLTP)」に基づくデータのみを公表する方針。WLTPは旧検査方式「新欧州ドライビングサイクル(NEDC)」に比べて精度が高く、排ガス値が大きくなる。このためNEDCで測定した昨年2月の数値をWLTPで測定した今年2月の数値と比較することに統計学的な有意性はなく、KBAはCO2排出量の前年同月比を今年は公表しないことにしている。
増加率が最も大きかったブランドはジャガーで、前年同月比39.6%増の642台へと拡大した。これにボルボが27.7%増の3,431台で続き、3位はスマート(25.0%増の3,705台)だった。
スマート以外のドイツ車ではミニ(11.9%増の3,301台)とメルセデス(11.3%増の2万4,380台)、フォード(10.4%増の2万1,264台)が2ケタ台の伸びを記録。VW(4.5%増の4万9,965台)、アウディ(2.3%増の2万4,050台)、BMW(0.9%増の1万7,825台)も前年同月を上回っており、減少したのはオペル(8.0%減の1万7,677台)とポルシェ(41.9%減の1,456台)の2ブランドだけだった。
日本車では三菱(17.9%増の4,213台)、スバル(15.4%増の547台)が2ケタ増となり、マツダ(2.0%増の5,397台)も拡大。その他はレクサスが1.3%減の153台、トヨタが2.5%減の6,483台、スズキが6.3%減の3,190台、ホンダが38.7%減の1,278台、日産が42.3%減の2,897台だった。
日本車以外の主な輸入ブランドではセアト(18.7%増の9,100台)、現代(17.1%増の9,242台)、ダチア(17.0%増の5,849台)、ジープ(15.2%増の1,162台)、起亜(8.8%増の5,215台)、シュコダ(1.2%増の1万6,758台)、シトロエン(0.2%増の4,587台)が増加。ルノー(2.1%減の9,635台)、フィアット(7.2%減の5,594台)、プジョー(8.2%減の5,581台)、アルファロメオ(17.1%減の272台)、ランドローバー(30.3%減の1,114台)、双竜(30.9%減の159台)、DS(53.2%減の198台)は減少した。
一方、独自動車工業会(VDA)が同日発表した2月の国内乗用車生産台数は44万900台で、前年同月を1%下回った。輸出台数は横ばいの34万8,500台。1~2月は生産台数が前年同期比10%減の81万4,000台、輸出台数が10%減の63万6,900台だった。