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2019/3/26

ドイツ経済ニュース速報

メルクが半導体材料のバースームに敵対的TOB

製薬・化学大手の独メルクは26日、半導体材料の有力メーカーである米バースームの株主に株式買い付けの提案を送付したと発表した。バースームの経営陣がメルクによる買収を拒否し、米特殊化学大手インテグリスとの合併を目指していることから、敵対的な株式公開買い付け(TOB)へと踏み切った。 バースームを1株当たり現金48ドルで買収する。これはバースームとインテグリスの合併計画発表日の前日(1月25日)終値を51.7%上回るほか、インテグリスの合併提案も23.6%上回る水準。全株式を取得した場合の総額は約60億ドルで、メルクにとっては2015年の米シグマ・アルドリッチ買収(170億ドル)以降で最大となる。企業価値(EV)が減価償却前営業利益(EBITDA)の何倍に当たるかを示すEV/EBITDA倍率は約13.3倍に上る。 メルクは2月27日、バースームに買収提案を行ったが、バースームが受け入れを拒否していることから、敵対的なTOBを開始した。 メルクは液晶の最有力企業として長年、君臨してきたが、近年は中国勢の追い上げを受けて業績が悪化していることから、液晶事業の穴を埋めるための戦略の一環として長期の需要拡大が見込まれる半導体材料の分野で事業を強化する意向だ。