自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW)グループは3日、自動運転車の公道試験を独北部のハンブルクに設置された自動運転車とコネクテッドカー用のテスト区間(TAVF)で開始すると発表した。「レベル4」までの自動運転試験を実施し、成果をグループの研究プロジェクトに活用するほか、路上インフラに必要な要件を洗い出す意向だ。同社がドイツの大都市でレベル4の公道試験を行うの初めて。
ハンブルク市は市中心部のダムトーア駅、メッセハレン駅、ランドゥングスブリュッケン駅、エルプフィルハーモニー駅、レーディングスマルクト駅を結ぶ往復9キロをテスト区間TAVFに設定した。必要な設備を段階的に設置し、2020年に完成させる予定だ。VWはそのうち3キロの区間を利用してテストを実施する。
試験にはVWの電気自動車(EV)「eゴルフ」5台を投入する。歩行者や自転車など他の交通参加者や交差点、標識、他の車の車線変更など複雑な周辺環境を正しく不足なく認識できるようにするため、車両にはレーザースキャナー11個、レーダー7個、カメラ14個が搭載されている。通信速度は1分当たり最大5ギガバイト。テスト車両には専門の訓練を受けた運転手が乗車し、緊急時には車両操作を引き受ける。
VWは試験走行で得られたデータをグループ企業が行う自動運転の研究プロジェクト、顧客向けサービスの検証、移動サービスの最適化に利用する。データの取り扱いに際しては違法なプライバシーの侵害が起きないようにする。
ハンブルク市とVWは2016年、将来の都市交通の実現に向けたソリューション開発で合意した。同市を環境に優しい安全かつスマートな交通のモデル都市とすることが狙い。21年に同市で開催される高度道路交通システム(ITS)に関する世界会議で成果をデモンストレーションする予定だ。VWの今回の試験走行はその一環として行われる。