Ifo経済研究所が23日発表した5月のドイツ企業景況感指数(2015年=100)は前月を1.3ポイント下回る97.9となり、14年11月以来(4年6カ月来)の低水準を記録した。過去9カ月間で同指数が上昇したのはわずか1回(3月)。5月は製造業を中心とする景気の低迷がサービス業にも広がっていることが浮き彫りになっており、独経済の先行きに影を落としている。Ifoのクレメンス・フュスト所長は「ドイツ経済は依然として勢いに欠ける」と述べた。
現状判断を示す指数が2.8ポイント減の100.6と大きく落ち込んだ。サービス業が強く足を引っ張った格好。今後6カ月の見通しを示す期待指数は横ばいの95.3だった。
部門別でみると、製造業の景況感指数はわずかに低下し、9カ月連続で落ち込んだ。現状判断が悪化したためで、期待指数は化学産業の好転を受けてわずかに改善した。製造業の期待指数が上昇したのは8カ月ぶり。
サービス業の景況感指数は大幅に悪化した。現状判断が13年4月以来(6年1カ月来)の大幅下落となったためだ。Ifoの調査担当者はロイター通信に、製造業への依存度が高い運輸・物流分野で同指数が大きく落ち込んだことを明らかにした。
流通業の景況感指数も下落した。卸売業が強く足を引っ張ったためで、小売業では現状判断と期待指数がともに上昇した。
建設業の景況感指数は3カ月連続で改善した。建設ブームが背景にあり、現状判断と期待指数の両指数とも前月を上回った。
景気低迷がサービス業に波及したことを受けてエコノミストの間には、外需の不振を相殺してドイツ経済を支えてきた内需も今後、失速する恐れがあるとの見方が出てきた。州立銀行ノルトLBのエコノミストは、外需が一段と落ち込むと労働市場にも影響が出ると指摘。長年明るさを保ってきた消費者景況感に陰りが出る恐れがあると述べた。