BMWのメキシコ工場開所、世界40カ国以上に3シリーズ供給へ

高級車大手の独BMWは6日、メキシコ中部のサン・ルイス・ポトシで完成車工場の開所式を行った。同社がメキシコで車両を生産するのは初めて。グローバル生産体制の拡充戦略に沿って同工場を設置した。世界的に需要が大きいセダン「3シリーズ」を40カ国以上に向けて出荷する計画だ。

総額10億ドル以上を投じて建設した。年産能力は17万5,000台。雇用規模は2,500人に上る。

BMWは同工場の建設を2014年に決定した。メキシコは約50カ国と自由貿易協定を結んでいることから、輸出に伴う関税上のリスクを回避できると判断してのことだ。

だが、米国のトランプ大統領は同工場建設計画に対し17年、米国販売車を低賃金の隣国で生産することは米国の雇用を奪うものだと批判。同国とカナダ、メキシコが結ぶ北米自由貿易協定(NAFTA)を解消し、メキシコからの輸入車に高率関税を課す可能性を示唆した。

この懸念は同3カ国が昨年、NAFTAを新協定「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」へと置き換えることで合意したため、ひとまず遠のいた。また、USMCAでは一定条件を満たしていればNAFTA同様、域内の自動車に関税がかからないことから、米国が仮に今後、欧州連合(EU)と中国製の車両に上乗せ関税を課しても、BMWは米国向け3シリーズの生産地をEU、中国からメキシコに切り替えることで対応できる。

ただトランプ大統領は折しも先月末、中米から米国に向かう不法移民の動きを取り締まらないメキシコを批判し、メキシコ製品に輸入関税を課す方針を打ち出した。まず10日から5%の税率を適用。メキシコが移民対策を取らなければ最大25%まで引き上げる。

これについてBMWのオリファー・チプセ取締役は、新工場は輸出先国が多く米国市場に過度に依存しないと指摘。米国がメキシコ製自動車に関税を課しても生産計画を変更する必要はないとの見解を示した。

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