車載電池セルの合弁工場をVWとノースボルトが設立へ

自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW)グループは6日、スウェーデンの電池スタートアップ企業ノースボルトと共同で車載電池セル生産の合弁会社を設立すると発表した。VWは電動車の販売を今後、大幅に加速することから、それに必要な電池セルの一部を同合弁から調達する計画だ。

VWは6月、ノースボルトとの協業に約9億ユーロを投資することを明らかにした。今回の合弁にはその一部を充てる。残りはノースボルト株およそ20%の取得に振り向ける予定。

両社は折半出資のセル合弁工場を独北部のザルツギターに設置する。2020年に着工。23年末〜24年初頭に生産を開始する。年産量は当初16ギガワット時(GWh)。ザルツギターにあるVWの電気自動車(EV)工場に供給する。

VWは電動車の生産台数を今後、急速に増やしていき、25年までに年300万台へと引き上げることを目指している。これを実現するためには欧州で150GWh以上、アジアでも同程度の電池セルを確保する必要があり、VWはすでにLG化学、SKI、CATL、サムスンの中韓4社を欧州におけるセルの戦略サプライヤーに選定した。これに加えてノースボルトとの合弁で生産を行うことで、中韓4社への依存度を引き下げる。

ドイツで車載電池セルの量産を計画するのはこれまで、中国企業CATL、および仏自動車大手PSAを中心とする企業連合だけだった。CATLは22年までに2億4,000万ユーロを投資し、年産能力14GWhの工場を建設する計画。CATL欧州法人のマティアス・ツェントグラフ社長が2月に明らかにしたところによると、生産能力を25年に最大100GWhまで拡大する可能性がある。

PSAは独子会社オペル、エネルギー大手の仏トタル、およびトタルの電池子会社サフトと組んで独仏でセルを生産する。まずはフランスに雇用規模200人のパイロット工場を建設。22〜23年にかけてはさらに独仏両国に量産工場をそれぞれ1カ所、設置する。当初はリチウムイオン電池セルを手がけ、25〜26年には次世代電池の本命と目される全個体電池のセル製造を開始する予定だ。仏政府が7億ユーロ、独政府が5億ユーロの補助金を交付する方針で、欧州連合(EU)の欧州委員会が現在、競争法上の審査を行っている。