燃料電池車普及に向け交通省がモデル地域を選定

ドイツ連邦交通省は10日、水素燃料電池車の普及に向けて9地域をモデル地域に選出したと発表した。選出された地域は今後、それぞれの地域に見合った水素生産や利用のコンセプトを策定して実施。交通省はこれをもとに、全国レベルの水素ステーション網を構築していく考えだ。

環境に優しい次世代の自動車としては現在、電気自動車(EV)が有力視されており、メーカー各社は今後、新モデルを次々と市場投入していく計画だ。充電ステーションは設置コストが低いという事情がEVの追い風になっている。

これに対し燃料電池車は水素ステーションの設置コストが高いという問題を抱える。環境に優しい方法で水素を低コスト生産することも課題となっている。

ただ、燃料の補給時間が短く、航続距離も長いという点でEVに勝っていることから、交通省は燃料電池車を将来のモビリティの1つと位置づけ、普及を後押しする考えだ。

普及には水素を全国どこでも補給できる体制が必要なことから、同省はその実現に向けてモデル地域を募集。応募した85地域のなかから地域特性などを踏まえて9地域を選定した。

選定されたのはリューゲン/シュトラルズント(風力発電が盛んな海岸地域)、ラウジッツ地方(構造転換にさらされる地域)、ロイトリンゲン(自動車産業が盛んな地域)、キール圏(大都市圏)、ワイマールとマールブルク(教育・知識移転都市)、オストアルゴイ/フックスタール/カウフボイレンとシャウムブルク郡(中小企業が多い地域)、ノイシュタット・アン・デア・ヴァルトナープ(国境地域)。

これらの地域では今後、交通省の支援を受けながら再生可能エネルギーを利用した水素の生産、貯蔵、物流、および交通を中心とする水素の現地利用のコンセプトを策定し、実施に向けてネットワークを構築していく。