自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW)は21日、グループ全体のソフトウエア開発を統括する事業組織「カーソフトウエア・オーガニゼーション」を来年1月1日付で独立の事業ユニットにすることを明らかにした。モビリティのデジタル化に伴いソフトの重要性が大幅に高まることから、当該業務の統括会社へと発展させ、相乗効果と規模の効果を引き出す意向だ。
自動車には現在、多数の制御機器が搭載されている。例えばVWブランド乗用車の車両には200社に上るサプライヤーが供給する制御機器が最大70個、搭載。これらの機器にはそれぞれソフトが搭載されていることから、スムーズに連携させるのは大きな手間となっている。VWはグループの全車両に共通のOS「vw.os」を搭載するとともに同OSに対応したソフトを開発することで、この問題を解決する考えだ。
クラウドサービスも一元化する。これにより、例えば最寄りの充電ステーションの検索といった基本サービスをグループの全車両で受けられるようにする。
同社はこうしたソフトやサービスの開発を専門とするカーソフトウエア・オーガニゼーションを今年、立ち上げた。同組織で働く技術者数は今年が約500人。独立の事業ユニットとなる来年にはこれを3,000人とし、25年までには6,000人以上へと拡大する計画だ。車載ソフトの自社開発比率を現在の10%未満から60%以上に引き上げることを目指す。同年までの投資総額は70億ユーロ超と大きいが、ソフトの統一と規模の効果で大幅なコスト削減を見込めるとしている。