北京汽車がダイムラーへの出資比率を倍増か

中国の大手自動車メーカー北京汽車(BAIC)が戦略提携先の独ダイムラーへの出資比率を2倍に引き上げるとの観測が浮上している。消息筋の情報として16日付『フランクフルター・アルゲマイネ』紙が報じたもので、ダイムラーの筆頭株主である中国競合の浙江吉利に対抗する狙いがあるもようだ。関係各社は報道内容へのコメントを控えている。

BAICとダイムラーは2003年に戦略提携し、乗用車、バン、トラックの生産、研究開発、販売で協業してきた。ダイムラーは13年、BAICの乗用車子会社BAICモーターに出資。現在は9.55%を保持している。18年にはBAICの電動車子会社BAICブルーパーク・ニュー・エナジーの資本3.01%を取得した。

吉利は2018年2月、ダイムラー株9.69%を取得し筆頭株主となった。同年10月には配車サービスの合弁会社をダイムラーと共同で中国に設立することで合意。今年3月には、ダイムラーの超小型乗用車ブランド「スマート」を吉利との合弁会社へと改めることも取り決めた。スマートの電気自動車(EV)を中国で生産することになっている。

BAICはダイムラーへの吉利の急接近に危機感を持っており、今年7月にダイムラー株5%を取得し初めて資本参加した。さらに約5%を上乗せすることで、吉利の出資比率を凌駕。中国市場におけるダイムラーのメインパートナーとしての地位を堅固にする考えという。

ダイムラー株の取得手続きはアジアに強い基盤を持つ英銀HSBCを通して進めているもよう。HSBCは現在、ダイムラーの議決権付き株式を直接・間接的に約5.2%保持しているという。

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