折り曲げ可能なスマホ向けガラス、ショットがサムスンに供給か

独特殊ガラス大手ショットのフランク・ハインリヒト社長は16日の決算発表で、折り曲げ可能な超薄型ガラスの生産を開始することを明らかにした。顧客メーカーのスマートフォンにディスプレーとして採用されることになっており、同メーカーは折りたたみ可能なスマホの新モデルを近く公表するという。同メーカーの社名は明らかにしなかったが、『フランクフルター・アルゲマイネ』紙は韓国のサムスン電子だと報じた。

サムスンは昨年2月、折りたたみ可能なスマホ「ギャラクシー・フォールド」を競合に先駆けて発表した。だが、品質に問題があったことから、発売は当初予定の4月から9月に延期。発売後は目玉としていた樹脂製ディスプレーに批判が集まった。

ショットの超薄型ガラスはギャラクシー・フォールドに対する批判を踏まえてサムスンが開発した新モデル「ギャラクシー・フォールド2」に搭載されるもようだ。現行モデルの樹脂製ディスプレーに比べて◇折り曲げを繰り返しても素材が疲労しない◇傷がつきにくい——という強みがあるという。ギャラクシー・フォールド2は2月にスペインのバルセロナで開催される携帯通信関連見本市「モバイル・ワールド・コングレス(MWC)」で公開されると目されている。

ショットの2019年9月通期決算の売上高は前期比5%増の21億9,000万ユーロに拡大した。医薬品向け包装材と、インダストリー4.0(つながる工場)向けの光学製品が全体をけん引。自動車、機械業界向け事業の不振が相殺された。営業利益(EBIT)は横ばいの2億7,500万ユーロ(前期2億7,400万ユーロ)。純利益は過去最高となった前期を1%下回る2億600万ユーロだった。