Ifo経済研究所は25日、3月のドイツ企業景況感指数(2015年=100)の確定値を発表した。前月比の下落幅は19日に前倒しで公表した暫定値を上回っており、景況感は時間の経過とともに悪化しているもようだ。Ifoのクレメンス・フュスト所長は「ドイツ経済はショック状態にある」と明言した。
Ifoは製造、サービス、流通、建設業界の計9,000社を対象にアンケート調査を毎月、実施して企業景況感指数を算出している。3月は新型コロナウイルスの感染がドイツを含む欧州で急速に拡大したことから、受注の激減やサプライチェーンの寸断、営業停止命令といった大きな問題に直面する企業が多数発生。アンケートに極めて悲観的な回答をする企業が急増したことから、Ifoは約90%のデータを集計した19日の時点で暫定的な数値を明らかにしていた。
今回発表した確定値はこれを一段と下回った。企業景況感指数は前月を9.9ポイント下回る86.1で、暫定値(87.7)に比べ1.6ポイント低くなった。下落幅は東西ドイツ統一後の最高を記録。指数の水準もリーマンショックに端を発する金融・経済危機のさなかにあった09年7月以降で最低となった。
今後6カ月の見通しを示す期待指数(13.4ポイント減の79.7)は暫定値を2.3ポイントも下回った。現状判断指数(6.0ポイント減の93.0)も暫定値より0.8ポイント低い。
製造業の景況感指数(現状判断指数と期待指数の中央値)は前月のマイナス1.5からマイナス18.2へと16.7ポイント低下し、09年8月以来の低水準となった。製造業のすべての分野で悪化。期待指数の下げ幅は70年の歴史で最大となった。操業短縮方針を打ち出す企業が多い。
サービス業の景況感指数はマイナス7.6となり、前月のプラス17.4から25.0ポイント下落した。新型コロナの流行拡大で需要が落ち込んでいたところに、基本的な生活の維持に必要のない事業者に対し営業停止命令が下されたことが追い打ちをかけ、大幅下落を引き起こした。下落幅はサービス業の景況感指数を開始した05年以降で最大だ。
これは流通業にも当てはまることで、同業界の景況感指数はプラス1.0からマイナス21.4へと22.4ポイント低下した。小売と卸売でともに大きく落ち込んでいる。
建設業の景況感指数も前月の12.9から5.0へと7.9ポイント低下したものの、下げ幅は他の3業界に比べ小さかった。現状判断指数が依然として高い水準を保っているためで、期待指数は大きく落ち込んだ。