20年税収見通しを約1000億ユーロ下方修正、24年までの引き下げ幅は計3159億に

ドイツの税収見積もり委員会は14日、国(連邦)と州、市町村、EU(向け拠出金)の2020年の税収が計7,178億ユーロとなり、前年実績から10.2%減少する見通しを明らかにした。昨年11月の前回見積もりを12.1%(986億ユーロ)も下回る極めて低い水準。新型コロナ危機に伴う企業利益の激減や勤労者の失業・所得減、税負担の軽減策を受けて、大幅な下方修正が避けられなくなった。オーラフ・ショルツ財務相は、財政が長年、安定していたことからコロナ危機を克服できると明言し、景気刺激策を実施する意向を表明した。

税収見積もり委は毎年、春と秋に中期税収予測を発表している。これまでは堅調な経済を背景に税収が増え続けてきたが、新型コロナウイルスの感染拡大とその防止策を受けて状況はにわかに悪化。今回は20年から24年の税収見通しをすべて引き下げた。下方修正幅は21年が527億ユーロ、22年が591億ユーロ、23年が538億ユーロ、24年が517億ユーロと大きく、20~24年の総額は3,159億ユーロに達する。

政府はコロナ危機で経営が悪化した企業やその被用者、自営業者に巨額の支援を行っていることもあり、今年は財政収支が大幅な赤字へと転落するのが確実だ。ただ、来年は反動でドイツ全体の税収が10.4%増加し、19年の水準をほぼ回復する見通し。その後も22年が3.0%増、23年が4.3%増、24年が3.8%増と拡大が続く。

債務残高が大幅に増加するにもかかわらず、政府が補助金や融資保証、税負担軽減を通して企業、自営業者、被用者を手厚く支援するのは、多くの企業が破綻して失業者が大幅に増えると経済基盤が破壊され、危機終了後に景気を速やかに回復することができなくなるためだ。経済の長期低迷は財政悪化につながることもあり、政府は今年、税収が大きく減少するなかで巨額の財政出動をあえて行う。