ルフトハンザ監査役会が国の支援計画を了承、欧州委の譲歩受けて

航空大手の独ルフトハンザは1日の監査役会で、国の支援を受ける計画を了承した。欧州連合(EU)の欧州委員会が支援承認の条件を緩和したことから、受け入れを決めた。取締役会は5月29日の時点で了承しており、6月25日の臨時株主総会で株主が承認すれば、同社は総額90億ユーロの公的支援を受けることになる。

ルフトハンザは新型コロナ危機で経営がにわかに悪化したことから、公的支援を受ける方向で国の経済安定化基金(WSF)と交渉を行い、5月下旬に合意に達した。それによると、政策金融機関のドイツ復興金融公庫(KfW)は民間銀行と共同で30億ユーロの協調融資を行う。またWSFは、決議権のない出資を最大57億ユーロ実施。第三者割当増資も引き受けて株式20%を1株当たり2.56ユーロ、総額およそ3億ユーロで取得する。ルフトハンザを買収から守る必要が出た場合は株式5%プラス1株を追加取得し、重要決議の阻止に必要な25%超へと出資比率を引き上げる。

欧州委はこの計画を認める条件として、ハブ空港のフランクフルトとミュンヘンで発着枠(スロット)の一部譲渡をルフトハンザに義務付ける意向を伝えていた。具体的には最大80枠を競合に譲り渡すことを要求した。

同社とドイツ政府はこれに反発。欧州委との交渉の末、譲渡を24枠に減らすことで合意が成立した。譲渡期間は差し当たり1年半。同発着枠はスロットを持たない航空会社に優先的に譲渡されるため、例えばフランクフルト空港をすでに利用しているアイルランドの格安航空(LCC)ライアンエアーが同空港で新たな発着枠を獲得できるのは、ルフトハンザの放出分を、スロットを持たない航空会社が取得しなかった場合に限られる。

上部へスクロール