独西部のレーダ・ヴィーデンブリュック市にある食肉加工大手テンニースの本社工場で新型コロナウイルスの大規模なクラスター(感染者集団)が発生したことが17日、明らかになった。感染者数はこれまでに分かっているだけで657人に上っており、感染者と接触者合わせて7,000人以上が隔離されている。事態を重くみたギュータースロー郡当局は18日付で郡内のすべての保育施設、学校を閉鎖した。
屠畜・食肉加工施設では密閉された空間で多くの労働者が働いているうえ、室温が低いことから感染が広がりやすい。東欧諸国からの出稼ぎ労働者は狭い宿舎に共同で寝泊まりしているという事情もあり、ドイツでは5月の時点で複数のクラスターが発生していた。
政府はこれを受けて先月、◇保健・労働当局などによるチェックを強化し労働・衛生・健康基準が遵守されるようにする◇宿舎の最低基準を企業に遵守させるための措置を検討する◇労働時間法の規制に違反した企業への罰金の上限を2倍の3万ユーロに引き上げる◇屠畜場で働く者を来年1月以降、正社員に制限し、派遣社員や下請事業者の投入を禁じる――などを決めた。だが、労働現場の対応は限られており、感染が拡大しやすい状況は変わっていない。
テンニースは独食肉市場で20%以上のシェアを持つ業界最大手。業界全体では就労者13万人のうち4万人以上を外国人労働者が占める。