ドイツ連邦統計局が20日発表した宿泊・飲食業界の5月の売上高(暫定値)は物価・営業日数・季節要因調整後の実質で前月比44.9%増と大幅に伸びた。増加は4カ月ぶり。新型コロナウイルスの感染拡大防止に向けた規制の緩和がプラスに働いた。ただ、前年同月比(物価調整値)では64.0%減少しており、正常化には程遠い状況だ。
ドイツでは新型コロナの感染者数が急増し始めた3月初旬頃から不要不急の外出を控える動きが鮮明化。感染拡大の防止に向けて国と州が観光客のホテル宿泊禁止措置を3月18日から、テイクアウトとデリバリーを除く飲食店の営業禁止措置を同22日からそれぞれ開始したことで、宿泊・飲食業界の売り上げは激減した。
規制権限を持つ各州当局は新規感染者数の減少を受けて、これらの規制を5月中頃から徐々に緩和した。これを受けて前月比の業界売上が増加へと転じた。前年同月比の減少幅も4月の75.9%に比べると小さい。
5月の業界の売上高を部門別でみると、宿泊は前年同月比80.0%減と減少幅が特に大きかった。飲食は同54.6%減だった。
1~5月の宿泊・飲食業界売上高は前年同期比で39.2%落ち込んだ。宿泊で48.0%、飲食で34.3%縮小した。