シーメンス子会社が放射線治療のバリアン買収

シーメンスの医療機器子会社シーメンス・ヘルシニアーズは2日、放射線治療システム大手の米バリアン・メディカル・システムズを買収することで合意したと発表した。がん治療分野のポートフォリオを強化する狙い。株式公開買い付け(TOB)を通して傘下に収める意向だ。

バリアンを1株当たり現金177.50ドルで買収する。買収総額は最大で約164億ドル。買収手続きはTOBの成功と当局の審査を経て来年上半期に終了する見通し。

バリアンは放射線治療機器とソフトウエアの有力企業。がん治療精度の向上に向けて人工知能(AI)や機械学習、データ解析などを積極的に活用している。従業員数は全世界で1万人に上る。昨年の売上高は32億ドルで、売上高営業利益率(調整済みベース)は約17%に達した。

ヘルシニアーズはバリアンと2012年から協業関係にある。同社の買収により、自社の強みである画像診断とバリアンの技術をより緊密に連携させ、ピンポイントでパーソナライズされたがん放射線治療を実現する。

買収資金の半分を新株の発行で賄うことから、親会社シーメンスの出資比率は現在の85%から約72%へと低下する。これに伴いヘルシニアーズの浮動株比率は上昇。ヘルシニアーズは時価総額が440億ユーロと大きいこともあり、独上場最大手企業を対象とするDAX(ドイツ株価指数)に採用される可能性が高い。9月末に新規株式公開(IPO)を予定するシーメンスの発電設備子会社シーメンス・エナジーもDAXの採用候補と目されており、シーメンスはグループ3社がDAX入りすることになりそうだ。