コロナワクチン開発のキュアヴァクがナスダック上場

医薬品開発の独キュアヴァクは14日、米ナスダックで新規株式公開(IPO)を実施した。初値は約49ドル、終値は約56ドルで、公開価格(16ドル)をともに3倍以上、上回っている。同社は新型コロナウイルスワクチンの開発が順調に進んでいることから、市場の大きな期待を受けた格好だ。時価総額は70億ユーロを超えた。

キュアヴァクはタンパク質合成のための情報を持つRNA分子であるメッセンジャーRNA(mRNA)をベースとする医薬品の開発に取り組んでいる。体内に侵入した病原体を撃退するためのたんぱく質の製造情報を、mRNAを通してヒトの細胞に伝達する技術を持つ。

同社はこの技術を用いて新型コロナワクチンを開発しており、6月には治験の第一段階に当たる第1相臨床試験を開始した。順調に行けば来年上半期にも製品を市場投入する見通しだ。

IPOでは市場資金2億1,300万ドルを調達した。同社はこれを新型コロナウイルスワクチンの開発と、ワクチン工場の建設に投じる。同工場は2022年の操業開始を予定している。

ワクチン製造では大手製薬会社の協力も仰ぐ意向だ。単独では充分な規模の生産を行えないためで、製薬会社とはすでに協議を行っている。

キュアヴァクには6月にドイツ政府が政策金融機関KfWを通して3億ユーロを出資した。ワクチン開発を支援するとともに、外資による買収を阻止することが狙いだ。同社にはこのほか、英製薬大手グラクソ・スミスクライン(GSK)が1億5,000万ユーロ、カタール投資庁(QIA)が6,000万ユーロを出資している。今回のIPOの結果、KfWの出資比率は19%から17%弱へと低下した。