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2020/9/8

ドイツ経済ニュース速報

化学・製薬業界の生産高、上期は2.5%減少

独化学工業会(VCI)が8日発表した独化学・製薬業界の1~6月(上半期)の生産高は前年同期を2.5%下回った。新型コロナ危機が響いた格好で、危機がピークに達した4~6月(第2四半期)は減少幅が5.8%に達した。第2四半期の工場稼働率は平均77.5%にとどまった。 上半期の生産高はすべての部門で減少した。自動車業界からの需要の大幅減を受けてポリマーでは減少幅8.0%を記録。無機化学品(6.1%減)と特殊化学品(3.9%減)も平均を上回る落ち込みとなった。医薬品と消費者向け化学品は新型コロナウイルス感染症流行の初期に需要が一時的に伸びたことから減少幅がそれぞれ0.3%、0.7%と小さかった。石油化学品は2.5%減だった。 出荷価格は平均1.5%低下した。需要の減少と石油価格の下落が反映された格好。 業界売上高は960億ユーロで、前年同期を6.1%割り込んだ。国内が5.4%、国外が6.5%の幅で縮小した。 新型コロナ危機が業界企業にもたらす影響は弱まっている。VCIが会員企業を対象に実施した7月のアンケート調査によると、「受注が不足している」との回答は5月の40%から24%へと減少。「原料が不足している」も12%から7%へと減った。物流上の問題がある企業は5%にとどまる。 コロナ危機前の水準に業績が回復する時期については2021年との回答が最も多く、38%に上った。これに22年が21%で続く。今年は11%にとどまった。 VCIは化学・製薬業界の今年の生産高が前年比で3.0%減少するとの予測も発表した。同工業会はコロナ危機の深刻化を受けて5月に従来予測を撤回。これまでは「生産高が大きく落ち込む」とするにとどめていたが、危機がピークを過ぎたうえ、3カ月半ほどで年末を迎えることから具体的な予測を提示した。7~12月(下半期)中に需要が安定すると見込んでいる。化学業界の生産高については4.0%減を予想する。 出荷価格は2.0%低下、売上高は6.0%減少する見通し。売り上げの内訳は国内が5.5%減、国外が6.0%減となっている。