放射性廃棄物の最終保管業務を引き受けるドイツの政府機関「連邦処分会社(BGE)」は28日に発表した中間報告で、高レベル放射性廃棄物を最終保管する候補地域として計90カ所を選定したことを明らかにした。最終保管地として適している場所をリストアップしたもので、政府は今後、各候補地の実地調査や市民の声を踏まえ2031年に最終保管地を決定。50年から保管を開始する計画だ。保管期間は100万年。
ドイツではもともと、同国北部のニーダーザクセン州ゴアレーベンにある岩塩鉱跡地が最終保管地候補とされてきた。だが、同跡地については地質学上、最終保管に適さないとの批判があったほか、地元住民の反対運動も根強いため、国と州は最終保管地選定の仕切り直しを決定。これを受けて16年に設立されたBGEは今回、地質学的に適した地域のリストアップを行った。
この結果、ゴアレーベンは表土と水質化学上の問題があるとして候補地から除外された。炭鉱跡が多いルール工業地帯も坑道が多く地質学的な安定性がないとして候補外となっている。
ドイツでは原子力発電が最終的に終了する22年末時点で、高レベル放射性廃棄物の累積量が2万7,000立法メートルに達する。政府はこれを1,900本の容器に入れて最終保管する計画。容器を除いたベースで単純に計算すると一辺30メートルの空間が必要となる。
低・中レベル放射性廃棄物については北ドイツのシャハト・コンラート鉱山跡地で27年から最終保管されることが決まっている。