独ダイムラーの乗用車・バン子会社メルセデスベンツは12日、調達先の選別基準に企業の社会的責任(CSR)を加える方針を明らかにした。車載電池の原料の採掘で人権侵害や環境破壊が起きている現状を踏まえたもので、今後は認証を受けた鉱山で産出された原料を用いたサプライヤーからのみ電池を調達する。まずは主要原料のコバルトとリチウムを対象に同方針を適用する。将来的には電池の他の原料と電池以外の分野にも拡大する意向だ。
コバルトとリチウムの採掘現場で人権侵害や環境破壊など持続可能性原則に反する事態が起きていないかどうかを調べ、同原則に反する鉱山から両原料を調達している企業は電池セルのサプライヤーから除外する。鉱山の持続可能性を調べる基準には「責任のある鉱業のための保証イニシアチブ(IRMA)」の「責任ある鉱業のためのスタンダード」を採用する意向だ。
人権・環境面で問題含みの国をコバルトとリチウムの調達源から全面的に排除することは見合わせる。そうした姿勢を取ることで状況改善を促し、現地の人の状況と人権が改善できるとみているためだ。
メルセデスベンツはまた、同社のモデルに投入する次世代電池セルに占めるコバルトの割合を10%未満に引き下げる方針も明らかにした。ポスト・リチウムイオン電池ではコバルトの全面排除を視野に入れている。