独フォルクスワーゲン(VW)の商用車子会社トレイトンは22日、電動車の研究・開発投資を大幅に拡大すると発表した。2025年までの同投資総額を従来計画の10億ユーロから16億ユーロへと拡大する。これと並行して内燃機関車用パワートレイン分野の投資を引き下げることから、研究・開発費に占める電動車の割合は2倍に拡大するとしている。
傘下ブランドの販売計画については、スカニア車の欧州販売に占める電動車の割合を25年に10%へと引き上げる。MAN車についてはバスの半数を非内燃機関車とする。30年にはスカニア車の50%を電動車とし、MANでも配達用トラックの60%、長距離トラックの40%を電動車とする。
電動車の経営資源は電気自動車(EV)に集約し、燃料電池車(FCV)への投資は見合わせる。トレイトンのマティアス・グリュントラー最高経営責任者(CEO)は、FCVでは再生可能エネルギーで作られた電力の25%しか有効に使われず、残り75%は電気分解による水素製造などの過程で失われることから、エネルギー効率がEVに比べ極めて低いと指摘。EVの優位性は配達などの近距離輸送に限られ、長距離輸送ではFCVが優位だとする見解は誤りだと断言した。FCVトラックは10年後に市場の一角を占めている可能性があるものの、ニッチな存在にとどまるとみている。