市場調査大手GfKが27日発表したドイツ消費者信頼感指数の6月向け予測値はマイナス7.0ポイントとなり、5月の確定値(-8.6ポイント)から1.6ポイント改善した。新型コロナウイルスの新規感染者数が大幅に減り、感染防止のための制限措置が各地で緩和されていることが反映された格好。ワクチン接種が進展していることもあり、景気の先行きを楽観する消費者が増えている。
同国では4月末以降、新規感染者数が急速に減少しており、人口10万人当たりの直近7日間の新規感染者数はピーク時の169.3人から27日には41.0人へと減少。1カ月で4分の1以下に縮小した。
新規感染者数が100人未満の地域では「緊急ブレーキ」という厳格な制限措置を解除できることから、国内の多くの地域ではすでに小売店やサービス事業者の店舗営業が再開されている。
ドイツ経済はこれまで、コロナ規制の直撃を受けない製造業が支柱となってきた。小売店とサービス事業者の営業が正常化すれば個人消費も回復し、経済が大きく上向くことから、今回の調査では消費者信頼感指数の算出基準となる3つの指標のうち2つの指標が大幅に改善した。特に所得の見通しに関する5月の指数は前月の7.3ポイントから41.1ポイントへと急上昇し、2018年3月以来3年2カ月ぶりの高水準に達した。
所得の見通しに関する5月の指数も9.3ポイントから19.5ポイントへと改善した。小売店などで働く被用者は営業再開で所得を以前の水準に回復できる可能性があることが背景にある。
高額商品の購入意欲に関する5月の指数は前月の17.3ポイントから10.0ポイントへと低下した。同指数の悪化は4カ月ぶり。営業規制は緩和され始めたものの、サービス分野を中心に消費の可能性が依然として制限されていることが響いたもようだ。
消費の機会が限られることから、1-3月期の貯蓄率は過去最高の23.2%に達した。コロナ禍の全期間を通しても約16%と極めて高く、家計のゆとりは増えている。個人消費は今後、反動で急増する可能性が高い。