新型コロナウイルスの接種を証明するデジタルワクチンパスポートの専用アプリを10日からスマートフォンにダウンロードできるようになった。デジタルワクチンパスがあると紙ベースの接種証明書(黄色)をいちいち持ち歩く必要がなくなることから、日常生活や旅行で役に立つ。遅くとも7月1日からは欧州連合(EU)の全域で使用できるようになる。
専用アプリには「Corona-Warn App」と「CovPass-APP」の2種類がある。ともにロベルト・コッホ研究所(RKI)が作成した。Corona-Warn Appは昨年導入されたコロナ接触追跡アプリの最新バージョン(Version 2.2)で、新たにワクチンパス機能が追加されている。
デジタルワクチンパスはワクチン接種センターないし開業医などで接種を受けた際に作成する。提示されたQRコードを、アプリを開いて撮影すれば良い。接種完了から14日が経過すると、十分な免疫力の獲得を意味する「完全な接種保護(Vollständiger Impfschutz)」のステイタスを取得したことが表示される。
すでに接種を完了した人は同パスを開業医ないし薬局で事後的に作成することができる。その際は身分証明書と紙の接種証明書を提示しなければならない。料金は無料。メディア報道によると、多くの州はワクチン接種センターで接種を完了した人に、今後数週間以内にQRコードを郵送する。これを受け取った人はアプリで撮影すれば良い。
開業医と薬局はデジタルワクチンパスの作成支援サービスを義務付けられていない。ただ、開業医の大半は同サービスを提供する見通し。薬局については薬局検索サイト「Mein Apothekenmanager(https://www.mein-apothekenmanager.de/)」でサービス提供店を14日から探せるようになる。
デジタルワクチンパスは飲食店やイベント、空港で使用することを想定している。例えばレストランでは入店に際してアプリを開いてQRコードを身分証明書とともに提示。店員は読み取り専用のアプリでQRコードが本物かどうかを確認する。紙製の接種証明書は引き続き使用できる。
デジタルワクチンパスはEUの全加盟国で有効だ。すでに一部の国では運用が始まっている。日本などEU域外の国では現時点で使えないものの、ノルウェー、アイスランド、スイス、リヒテンシュタインはEUのデジタルワクチンパス制度に参加する意向を示している。