ロベルト・コッホ研究所(RKI)のロタール・ヴィーラー所長は18日、イエン・シュパーン保健相との共同記者会見で、新型コロナウイルス新規感染の主流が今秋までに現在のアルファ型変異株(英国株)からデルタ型変異株(インド株)に移行するとの見通しを示した。デルタ株は感染力が特に高いためで、シュパーン保健相はデルタ型がドイツの主流になるのは時間の問題だと断言。ワクチン接種率が高水準に達するとともに、新規感染者数が少ないという状況下で同株が主流になることが望ましいと述べた。
アルファ株は従来株に比べ感染力が高いことから、ドイツで主流を占めるようになった。デルタ株はアルファ株の1.5倍の感染力を持つことから、発生したインドだけでなく英国でも主流となっている。研究者はドイツでも数カ月以内に主流になるとみている。
RKIが16日に発表した変異株に関するレポートによると、新規感染に占めるデルタ株の割合は5月31日~6月6日の週(2021年第22週)に6%となり、アルファ株の86%を大きく下回った。ただ、第20週は3%、第21週は4%と増加傾向にある。
英国では新型コロナの感染拡大を防ぐための規制が5月に緩和された。新規感染者数が減るとともに、ワクチンの接種がある程度、進んだためだ。だが、6月に入ると感染者数が再び急増。人口10万人当たりの直近7日間の新規感染者数は70人となり、ドイツの10人を大幅に上回っている。
背景には英国で承認されたワクチンのうちジョンソン・エンド・ジョンソンの製品を除く3製品は2回の接種が必要という事情がある。これら3製品は1回の接種でもある程度の効果があるものの、感染を防ぐには十分でない。2回目の接種を終え高い免疫力を獲得した人が多くない時点で規制を緩和したことから、感染力の高いデルタ株が急速に広がっている。
ヴィーラー所長はこれを踏まえ、規制緩和を急ぎ過ぎると接種を完了していない市民を中心に感染が再び急拡大すると警鐘を鳴らした。