ロベルト・コッホ研究所(RKI)の予防接種常任委員会(STIKO)は1日、新型コロナウイルス用ワクチンの接種勧告を部分修正した。感染力の極めて高いデルタ株が急速に広がっていることを受けた措置。アストラゼネカ製ワクチンの接種を1回目に受けた人に2回目は伝令RNA(mRNA)を用いた他社製のワクチンを接種するよう勧告している。これにより感染防止効果を高める狙いだ。
ドイツでは現在、mRNA型のビオンテック/ファイザー製品、モデルナ製品と、ウイルスベクター型のアストラゼネカ製品、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)製品が接種されている。このうちJ&J製品は1回接種タイプで、残り3製品は2回の接種が必要。STIKOはこの3製品の接種間隔をビオンテック/ファイザーで3~6週間、モデルナで4~6週間、アストラゼネカで9~12週間とするよう勧告している。アストラゼネカに関しては最短4週間とすることも可能だが、間隔を短くすると効果が落ちることら、医師の説明と本人の同意が必要となる。
3製品は1回目の接種では予防効果が弱いものの、2回目の接種後14日が経過すると、デルタ株を含む「懸念される変異株(VOC)」に対しても高い効果を発揮することが分かっている。STIKOはこの知見と、デルタ株の急速な拡大を踏まえ今回、勧告を部分修正した。アストラゼネカの接種を受けた人が2回目にmRNAワクチンの接種を受けれる場合は間隔を最短4週間に短縮しても高い効果が得られるためだ。接種間隔を9~12週間から短縮することで、感染リスクを下げることができる。感染防止効果はmRNAワクチンの接種を2回受ける場合よりも高い。
STIKOはこれまで、1回目にアストラゼネカのワクチンを接種した60歳未満の人についてのみ、2回目はmRNAワクチンに変更するよう勧告してきた。これは比較的低い年齢層でアストラゼネカ製ワクチンの接種後に血栓ができるリスクがあることが判明したためで、デルタ株の流行とは関係がない。今後は60歳以上のアストラゼネカ製品接種者も2回目はmRNAワクチンの接種を受けることになる。
開業医のワクチン不足解消
一方、健康保険医師会全国連盟(KBV)のアンドレアス・ガッセン会長はdpa通信に、開業医のワクチン不足が来週(7月5~11日)から解消される見通しを明らかにした。これまでは供給量が開業医の発注量を下回っていた。ドイツ全体のワクチン供給量が今月から大幅に増え始めたうえ、バカンス旅行に出かける患者と開業医が多くなってきたことが背景にある。ただ、順番を待つ患者は極めて多いことから、すべての希望者がすぐに接種を受けられるわけではない。