ライフサイエンス大手の独バイエルが5日発表した2021年4-6月期決算の純損益は23億3,500万ユーロの赤字となった。発がん性の疑いが持たれる同社製農薬「グリホサート」を巡る訴訟で、引当金を39億4,500万ユーロ積み増したことが響いた格好だ。
バイエルは20年4-6月期にグリホサート訴訟で原告側と和解し、巨額の引当金を計上したことから、同期の純赤字は過去最大の95億4,800万ユーロとなった。同社はこれで同訴訟の財務リスクにメドを付ける考えだったが、新たなリスクが浮上していることから、21年4-6月期に引当金の積み増しを余儀なくされた。
21年4-6月期の営業利益(EBITDA、特別項目を除く)も前年同期比10.6%減の25億7,700万ユーロと振るわなかった。為替差損と変動給の引当金が響いた格好だ。売上高(為替と事業の買収・売却を除いたベース)は12.9%増の108億5,400万ユーロに拡大しており、売上高営業利益率は前年同期の28.7%から23.7%へと低下した。
同社は今回、21年12月期の売上高を従来予測の「約420億~430億ユーロ」から「約440億ユーロ」に引き上げた。その一方で、営業利益を「112億~115億ユーロ」に据え置いたことから、売上高営業利益率については従来の「約27%」から「約26%」へと下方修正した。