ドイツ機械工業連盟(VDMA)は26日の記者会見で、同国機械業界の今年の生産成長率を実質10%に据え置いた。原材料不足と物流のひっ迫で業界を取り巻く環境は厳しくなっているものの、受注が良好なことから2ケタ台の伸びを確保できるとみている。機械メーカーの多くはコロナ禍前の2019年の売上水準を今年、回復できる見通しだ。来年は生産成長率で5%を見込む。
記者会見では米国と中国の対立が一段と深まり、両国経済が切り離させる「デカップリング」の可能性にも触れた。会員企業を対象としたアンケート調査では、中国ないし米国から電子部品や原料など生産に不可欠な部品を調達しているとの回答が約50%に達しており、カール・ホイスゲン会長は米中の通商紛争が深刻化するとドイツの機械メーカーは大きなしわ寄せを受けると指摘。今のうちから対策を検討する必要があるとの見解を示した。
アンケートでは今後、取り得る同問題への対策も質問した。回答が最も多かったのは「米中の顧客企業に必要不可欠な特殊ソリューションをこれまでに引き続き提供し続ける」で、50%に上った。「第3国のサプライヤー開拓を通して米中の制裁を回避する」は3分の1強、「米国と中国の現地生産を強化する」は3分の1弱、「手間とコストは膨らむものの米国と中国市場向けの製品をそれぞれ開発する」は16%だった。