ロックダウンは合憲=憲法裁、コロナ規制の再強化が可能に

新型コロナウイルス感染者の大幅増加に対処するため独政府が法改正を通して今春に施行した「緊急ブレーキ」という名のロックダウンは人権を不当に侵害するものだとして市民などが提訴していた係争で、連邦憲法裁判所(BVerfG)は30日、訴えを棄却する決定を下した。近日中に次期政権を樹立予定の社会民主党(SPD)、緑の党、自由民主党(FDP)の3党は、ロックダウンは違憲だとして営業禁止や外出制限をできなくする方向で今月下旬に法改正を実施したが、そうした人権制限措置を憲法裁が合憲としたことから論拠が崩れた格好だ。ドイツでは現在、新規感染者数の記録更新が止まらず、医療崩壊の危機が現実味を帯びていることから、ロックダウンを再実施できるようにするよう求める声が強まっており、次期与党の対応に注目が集まっている。

キリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)とSPDからなる現政府・与党は4月、感染防止法を改正し、緊急ブレーキ制度を導入した。それまで各州がそれぞれの基準に基づいて行ってきた感染防止策を全国一律の基準に基づいて行うようにすることで、コロナ規制の効果と信頼性を高める狙いがあった。人口10万人当たりの直近7日間の新規感染者数(7日間の発生数)が3日連続で100人超となった地域に緊急ブレーキ規制を例外なく適用。各州の裁量の余地をなくした。

具体的には◇22~5時の夜間外出を原則禁止◇食料品店や薬局、ドラッグストア、本屋、花屋など一部の例外を除き小売店の店舗営業を大幅に制限◇私的・公的な場を問わず家族以外の人と会うことを大幅に制限◇対面授業を行う学校に週2回、抗原検査の実施を義務付け、7日間の発生数が3日連続で165人を超えた地域では対面授業を禁止――などの規制を6月末まで適用対象地域で実施した。

憲法裁の裁判官は今回の決定で、緊急ブレーキで認められた措置は基本的人権を著しく制限するものだとしながらも、国民の生命・健康、医療システムの維持に寄与するのだったと指摘。違憲には当たらないとの判断を示した。

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