車載電池のデジタルパス開発へ、ESG情報記録でバリューチェーン透明化

独経済・気候省は25日、車載電池のデジタルパスポート開発を進めるコンソーシアムに補助金を交付すると発表した。資源採掘からリサイクルに至るサプライ・バリューチェーン全体で人権侵害や環境破壊が起きていないことを同パスポートで証明。ESG(環境・社会・ガバナンス)の面で折り紙付きの電池を企業が簡単に使えるようにし、電動車の普及を加速させる考えだ。欧州連合(EU)域内でデジタル製品パスが導入される初のケースとなる。将来的には他の製品分野への導入も検討されている。

環境コンサルティング会社システミック(Systemiq)を中心とするコンソーシアムに総額820万ユーロの補助金を交付する。同コンソーシアムには自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)、BMW、化学大手BASF、金属大手ユミコアなどが参加。デジタルパスにはカーボンフットプリント、原料採掘、電池修理・リサイクルのしやすさなどの情報が記録されることから、対象の電池を使用すればESGのハードルをクリアできる。コンソーシアムは倫理的で持続可能な電池バリューチェーンの構築を目指す国際組織「グローバル・バッテリー・アライアンス」と協業し、同パスが世界的に通用するようにする意向だ。

コンソーシアムはデジタルパスをEUで導入予定の「電池規則」に対応させることも目指している。同規則は現在、策定手続きが行われており、2026年から施行される見通し。車載電池のほか、定置型蓄電池、産業用大型電池を対象にカーボンフットプリントの証明やその削減義務が盛り込まれる。31年からは一定比率のリサイクル材料投入も義務化される見通しだ。

上部へスクロール