金属労組IGメタルの賃金委員会は26日、鉄鋼業界の次期労使交渉で8.2%の大幅ベースアップを要求する方針を決議した。5月8日に正式決定し交渉に臨む意向だ。
鉄鋼業界では5月13日から北西部地区(ノルトライン・ヴェストファーレン、ニーダーザクセン、ブレーメン)と東部地区(ベルリン、ブランデンブルク、ザクセン)で労使交渉が始まる。交渉担当者は、物価が高騰していることと、業界企業の多くは業績が好調なことを指摘。インフレで目減りしている所得の相殺は必要だと強調した。
21年の前回交渉ではコロナ禍を踏まえ賃上げが見送られ、労使は一時金の支給で妥結した。IGメタルはこの事情も踏まえ、今回の交渉で大幅なベアを実現したい考えだ。
サプライチェーンのひっ迫を背景とする物価の高騰はロシアのウクライナ侵攻で加速している。インフレ率が今年、高水準に達するのは避けられない状況で、ドイツの有力経済研究所は先ごろ政府に提出した共同予測で6.1%に上るとの見方を示した。ロシア産エネルギーの供給が止まった場合は第2次世界大戦後最高の7.3%に達するとしている。