自動運転用半導体をVWがクアルコムから調達か

自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW)が自動運転用の半導体を米クアルコムから調達するとの観測が浮上している。社内情報として経済紙『ハンデルスブラット(HB)』が2日付で報じた。競合ダイムラーとBMWはすでに同半導体の調達契約をそれぞれ米エヌビディア、クアルコムと結んでおり、VWも追随する格好となる。VWは報道内容へのコメントを控えている。

HB紙によると、同社は1枚の半導体チップ上に様々な機能を集積したSoC(システム・オン・チップ)をクアルコムから調達する。取引額は10億ユーロ強。供給開始は2025年で、26年からグループブランドの全車両に搭載する。契約期間は31年まで。

VWグループでは子会社カリアド(CARIAD)が自動運転用ソフトウエアをサプライヤー大手のボッシュと共同開発している。このためクアルコムとの今回の契約にはボッシュも関与しているとみられる。SoCの性能を可能な限り少ない電力で最大限に引き出すためにはハードウエアとソフトのすり合わせが必要不可欠なためだ。

クアルコムから調達するSoCはまず、レベル3の自動運転車に搭載される。第2段階ではレベル4の車両に搭載される可能性があるという。

VWは自動運転システムの開発でこれまで、米半導体大手インテル傘下のモービルアイと協業してきた。このため、自動運転用SoCの分野でもモービルアイと協業すると目されていた。

VWの高級車子会社アウディは同分野でこれまでエヌビディアと協業してきたが、VWがクアルコムからの調達を決めたことから、エヌビディアとの協業は打ち切らざるを得ないという。

VWが車載OS用の半導体をどのサプライヤーから調達するかは未定。同紙によると、エヌビディア、クアルコム、インテルの3社と現在、交渉を行っているという。