配達ドローンのウイングコプター、REWEや伊藤忠から資金調達

配達ドローン開発・製造の独ウイングコプターは21日、独小売大手REWEや伊藤忠商事から総額4,200万ドルの出資を受けたと発表した。生産と雇用の拡大、研究開発の加速に充てる。これまでに投資家から調達した資金の総額は6,000万ドルを超えた。

ウイングコプターは2017年設立の電動垂直離着陸機(eVTOL)メーカー。医療品分野を中心に、アフリカでの医療品配送ネットワークの構築、日本を含む世界各地での実証実験を通して、ドローン物流の事業化を目指している。今後は開発中のドローン「ウイングコプター198(W198)」の安定した高速・長距離飛行の特長を活かし、食料品や日用品の配送にも手を広げる計画だ。フランクフルト南部のヴァイターシュタットに本社を置く。雇用規模は約120人。

受注は増加し続けており、アフリカの販売パートナーであるコンチネンタル・ドローンズには今後5年で最大1万2,000機を納入する予定。米医療航空輸送サービスのエア・メソッズはウイングコプターのドローンを用いて病院間の輸送網を構築する計画だ。

ウイングコプターは新たな受注を獲得しても、それを今年と来年の生産計画に組み込むことはほとんどできない。生産能力にほぼ相当する受注をすでに確保しているためだ。この事情を踏まえ、生産能力を引き上げる。新工場の建設も行う考えで、現在、用地を探している。

医薬品は輸送コストが高くても僻地ではニーズがあるため、ドローン輸送市場を比較的開拓しやすい。これに対し日用品などはコストが合わないため、同社はこれまで、同分野への進出を控えてきた。

今回の出資者であるREWEは同名のスーパーマーケットを展開する独小売市場の有力企業。伊藤忠もファミリーマートを傘下に持つ。両社から出資を受けたことについてウイングコプターのトム・プリュマー最高経営責任者(CEO)は、同社が将来的に医薬品のドローン配達を超えて事業を展開するというメッセージを送ることになると意義を強調した。