ガス管NS1、予定通り21日に再稼働の見通し

ロシア産天然ガスをバルト海経由でドイツに輸送するガス管「ノルドストリーム1(NS1)」はメンテナンス作業を終了し、21日に再稼働する見通しだ。ドイツ側で受け入れ拠点を運営するガス販売会社ガスカーデによると、同日午前6時以降の輸送容量の予約(ノミネート)が入ったという。まとまった量を輸送する場合は事前にノミネートを入れる必要があることから、ロシア国営ガス会社ガスプロムは予定通りの日程で輸送を再開すると目されている。

NS1のメンテナンスは11日に開始。期間は10日と予告されていた。メンテナンスは定期的に行う必要があるものの、ガスプロムはNS1の輸送量を6月中旬から容量の40%に引き下げていたことから、ドイツなど西側諸国ではメンテナンス終了後も供給を再開しないとの懸念が広がっていた。

ロシアのプーチン大統領はガスカーデの発表に先立ち、「ガスプロムは義務を守るし、常に守ってきた。今後もすべての義務を守る意向だ」と述べ、輸送再開を示唆していた。ただ、修理のためにカナダに輸送されていたタービンが返却されなければ、今月末から輸送量を容量の20%に減らす可能性があると言明。タービンの速やかな返却を強く促した。

同タービンはNS1のガス輸送に用いるもので、英ロールスロイスが2010年に供給した(ロールスロイスの当該事業は現在、独シーメンス・エナジーの一部となっている)。修理中にカナダが下した対露制裁を受けて、返却できなくなっていた。

ガスプロムはこれを受け、同タービンが返却されないため、輸送量を減らさざるを得なくなったとして、NS1の供給削減に踏み切った経緯がある。

カナダはドイツ政府の要請を受け、同タービンをロシアに返還することを決めた。制裁に抵触しないようドイツ経由で輸送するもようだ。露『コメルサント』紙によると、17日にドイツへと空輸されたという。

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