鉄道輸送で石油と石炭を優先

ドイツ政府は24日の閣議で、鉄道輸送で石油と石炭を他の物資に優先させることを定めた政令案を了承した。水位の低下で河川輸送能力が大幅に低下し、発電所、製油所の運営に支障が出る懸念があることから、両物資の鉄道輸送を増やす意向だ。施行期間は発効から6カ月となっている。

欧州を襲う猛暑・渇水の影響でドイツの河川は水位が極端に低下し、貨物船は運行を見合わせたり積載量を大幅に減らしている。石炭と石油は主に河川を利用して輸送されることから、すでに火力発電と製油分野では黄信号が点滅。エネルギー大手ユニパーは今月上旬、ライン水系の石炭発電所で稼働率を引き下げる可能性があることを明らかにした。

国内の発電・製油能力が低下すると、経済活動と市民生活が強く制限されかねないことから、政府は石油・石炭輸送の優先を決めた。他の物資と乗客の輸送には可能な限りしわ寄せが出ないようにするとしている。ただ、ドイツの鉄道網は現在、各地でメンテナンスや近代化工事が行われ混乱が起きていることから、優先輸送措置が実施されると状況は一段と悪化する懸念がある。