自動車部品大手の独ボッシュは8日、路車間・車車間通信の標準化に向けた産学プロジェクトを実施すると発表した。同標準を策定することで、自動運転車の普及に必要な前提条件を作り出す考え。プロジェクトを統括するボッシュのペーター・ブッシュ氏は、「道路交通データを交換するための包括的で透明なシステム・アーキテクチャーは現在、存在しない。確かに個々の企業はそうしたサービスをすでに提供している。だが、そうしたサービスは特定の用途、車両、顧客グループ向けにテイラーメイドされている」と指摘。「例えばユーザーが利用可能なすべての充電スタンドを見つけ、決済できるようにするためにはオープン標準が必要となる」と狙いを語った。
欧州クラウド「ガイアX」ベースのプロジェクト「ガイア-X 4 ムーブID」をボッシュの主導で実施する。期間は3年。コンチネンタル、デンソーなど他の自動車部品メーカー、航空宇宙大手エアバス、ITサービス大手アトス、研究開発機関ドイツ航空宇宙センターなど約20社・機関が参加する。資金の半額に当たる1,400万ユーロを独経済・気候省の補助金で賄う。
プロジェクトでは都市への車両のアクセスをリアルタイムで規制して渋滞を回避する「ゾーニング」の試験をドイツ、フランス、ルクセンブルクの国境地帯で実施する。国境をまたいでゾーニングが行われるのは初めて。ゾーニングを実現するためには、路車間通信を通して得た最新情報をもとに車両が走行ルートを適宜、変更できる必要がある。